花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし间に
忧思逢苦雨,人世叹徒然。春色无暇赏,奈何花已残。
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
般般身后事,只盼再相逢。漫漫黄泉路,也堪忆我胸。
春(はる)の初(はじ)めに咏(よ)める
春(はる)やとき 花(はな)や遅(おそ)きと 闻(き)き分(わ)かむ 莺(うぐひす)だにも 鸣(な)かずもある哉(かな)
初春所咏
春临花未咲 孰知是今春来早 抑花咲迟耶 旁徨举首问黄莺 无奈黄莺亦不鸣
二条后(にでうのきさき)の春宫(とうぐう)の御息所(みやすどころ)と闻(き)こえける时(とき)、正月三日御前(むつきのはるか)に召(め)して、仰(おほ)せ言有(ごとあ)る间(あひだ)に、日(ひ)は照(て)りながら雪(ゆき)の头(あたま)に降(ふ)り挂(か)かりけるを咏(よ)ませ给(たま)ひける
春(はる)の日(ひ)の 光(ひかり)に当(あ)たる 我(わ)なれど 头(か)の雪(ゆき)と なるぞ侘(わ)びしき
方二条后尚为春宫御息所之时,正月三日,召吾于御前,有仰言之间, 日照而雪降,挂吾头上之所命咏
正月三日春 煦煦春光照我身 其时雪亦降 雪挂白头白上白 不觉空叹光阴老
春立(はるた)ちける日咏(ひよ)める
袖渍(そでひ)ちて 掬(むす)びし水(みず)の 冻(こほ)れるを 春立(はるた)つ今日(けふ) の 风(かせ)や溶(と)くらむ
立春之日所咏
渍袖掬清水 寒日冰冻三尺余 所以能汲者 盖是今日立春时 暖暖东风解其冰
物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる
睹物思情,池边流萤飞舞,当是我,离恨愁魂